外資系航空会社で働くということ【メリット編】

パイロット関連

今回の記事では、外資系航空会社で実際に働いてみて感じたこと【メリット編】をお伝えしたいと思います。記事が長くなってしまうので、デメリット編は後日公開致します。

これからパイロットを目指されている方や、既に日系企業で乗務していて、外資系に興味があるパイロットの方への参考になれば幸いです。

外資系航空会社への転職

パイロットが会社を変えたいと思う時、要素としてはいくつかあるかと思います。

例をあげると、待遇、勤務パターン、機長昇格、乗務機種、etc・・・。

その中でも今回は、以下の3つのテーマで外資系航空会社のメリットについてまとめてみました。

  • 待遇
  • 人間関係
  • 周りの環境

私は台湾の航空会社に勤めているため、”外資系航空会社”で間違いはありませんが、これだけでは外資系というには情報が少なすぎるために、多くの外資系で働いた経験のある方からの情報も参考にしています。

待遇

給与

待遇面については、こちらの以前の記事でも紹介していますが、給与の面で考えると、日系航空会社よりも外資系航空会社に分があります。

私は台湾の航空会社に勤めていますが、台湾では年に一度確定申告の時期に、外国人は税金還付を受けることができます。還付される金額は、収入や家族構成などの条件によって変わってきますが、私の場合だと日本円でおよそ80万円ほどが返ってきます。会社の業績に関わらず、必ず1ヶ月分のボーナスがもらえるようなものなので、かなり大きなメリットです。

また、日本の航空会社の場合は、家賃手当、子供の教育手当がある会社はごくごく少数かと思いますが(日本で教育手当は聞いたことがない。)、外資系ではいくつかの航空会社で外国人パイロット向けにこのような手当を導入しています。特に、お金がある中東の航空会社では、こういった手当を見ることが多いです。

こちらは、中東のLCCであるFLY Dubaiのパイロット待遇の図です。

UAEは無税なので、ここに書かれている給料は全て手取り額です。

基本給の他に、Educational Assistance(教育手当), Housing Allowance(住宅手当)などがあります。

これを見てみると、CAPの場合、基本給、住宅手当、交通費を合わせた給料が毎月41,195AED。日本円でおよそ127万円。これに加えて、毎月の平均乗務手当(70時間)が13,930AED。(およそ43万円。)

合計すると、170万円。これはもちろん無税なので手取り額です。

しかし、驚くのはまだ早いです。この金額には教育手当などは入っていません。どういった教育手当なのかは詳細不明ですが、おそらく子供の大学までの学費を会社が全て負担してくれるといったものかと思います。更に、なんと有給は年に42日。加えて無料で使える航空券終身雇用医療保障

こういった手当の価値毎月43万円になるとここでは書いてあります。

合計すると、213万円。。。既にお腹いっぱいになりそうですが、まだあります。

こちらも詳細不明ですが、「UAE National Allowances」という恐らく国が外国人労働者に対して支払う手当のようなものが毎月の給料に上乗せされるらしいです・・・。

しかし、これについては詳細が不明なので、わかっている範囲のみで毎月の給料213万円。これを単純に12倍すると、年収は、2556万円。もちろんこれは手取りでの額です。

これを日本の税制に置き換えてみると、およそ4600万円の年収ということになります。

https://heikinnenshu.jp/tokushu/tedori.html

ちなみにCAPが上記の金額ですが、FOの場合は年収1964万円、日本の税制でおよそ3400万円になります。さすがはオイルマネーの中東といった感じですが、中国ではなんとこれ以上の給与を掲示している会社もあります。

お金が全てではないにせよ、これだけの給料がもらえるのは非常に魅力的です。

福利厚生

Staff Travel

待遇面として、給与と同じくらい重要視されるのが通常Staff Travelと呼ばれる、無料、または格安で航空会社のチケットを利用できる制度です。これは自社便に限らず、他社便も利用できたりもします。

しかし、これは日系、外資系はあまり関係がありません。その航空会社次第です。

この制度は大手ほど利用の幅が広い傾向があります。それは大手ほど航空連合に加盟している可能性が高い為、(スターアライアンス、ワンワールド、スカイチームなど)、他社便のチケットを利用できる可能性も高まります。しかし、大手でなくとも、その会社の親会社がアライアンスに加盟している場合は、子会社の社員もStaff travelを利用できたりもします。

また、これも会社によって違いますが、本人だけでなくとも配偶者や、〇親頭まで利用可能。など、使える範囲は各会社によって様々です。

転職を考える際には、必ず押さえておきたいポイントです。

住宅手当

日本の航空会社の中にも住居手当(家賃補助)がある会社はありますが、それほど多くありません。

一方の外資系では、多くの会社で住居手当が支給されます。私が勤めている会社でも、子供の年齢によって金額は変わりますが、およそ10万円〜20万円の住宅手当があります。給料としてお金で支給される他にも、中東のエミレーツ航空などでは一軒家がそのまま支給されたりする場合もあります。

こうした手当があるのも外資系航空会社の魅力の一つです。

人間関係

権利と気遣い

以前に書いた記事で、ほとんどのストレスは「人間関係」から生じると紹介しました。

外資系の航空会社に勤めているパイロットが揃えて口にするのが、”人間関係が楽”ということです。

日本の社会には、赤色、青色(航空会社)、出身ソースによる派閥、組合などの組織、上下関係など・・・これでもかという程、人との付き合いを意識しなければなりません。もちろん、一匹狼のようにどこにも属さずにいることも可能でしょうが、その場合日本社会では”浮いた存在”として扱われてしまいます。

“若いのにでしゃばるな”

“目立つことは良くないことだ”

“常に右へ倣え“

こんな風土がある日本では、平凡で目立たない事が生き残るための手段のように教わってきました。

特に、飛び始めの新人パイロットは、飛行機を飛ばすのではなく、隣に座っているキャプテンにいかにして気に入ってもらうかが仕事かのように勘違いしている人も多いと思います。

なぜなら、新人時代の私も実際にそうでした。

お腹が空いていても隣のキャプテンが食べ始めるまでは我慢したり、ステイ先でのキャプテンとの食事の時にはメモを取れるようにペンとノートを持っていったり・・・。

これらは全て、”俺は若い時にこうしたからお前もこうしろ“と教わったものです。

こうした、合理性を無視した暗黙のルールが山ほど日本社会には存在しており、それが日本の職場環境は“ストレス社会“と言われる原因だと思っています。

飛行機を安全に飛ばすのに、どちらが先に食事を取るなどの上下関係は全く関係ありません。むしろ、パフォーマンスを下げないためにもお腹が空いた人から取るべきでしょう。

キャプテンの話をメモを取るかどうかは副操縦士の自由です。いい話ならばメモを取らずとも記憶に残るでしょう。それを強制するというのは、某国の将軍様の側近が、みんなアピールがてらにメモをとっている姿となんら変わりありません・・・。

しかし、こうしたことを言うと、”でしゃばるな“ “生意気だ“ と一蹴されてしまうのが日本社会の現実です。

実際に私の元にも、会社の人間関係に疲れたので外資系に行きたいと、日本で働いている元同僚から相談されたことがあります。

外資系の会社では、そういった気を使う人間関係が全くありません。

「機長だろうが年配の人だろうが、「Hi!」で挨拶をすることができ、ステイ先からの出発時は、日本のように遅くとも集合時間の10分前にはホテルのロビーで待っていないといけないというような暗黙のルールもありません。

あくまで働くこと=”ビジネス”と考えているので、自分の仕事が終わればそれっきり。仕事後のプライベートな時間を他の人に介入される心配はありません。

もちろん、日本の会社のように、仕事後に同僚や先輩後輩と飲みに行ったり、そういう強いつながりも魅力的だとは思います。なので、そういった付き合いが好きな人にとっては少し物足りない面もあるかもしれません。

あくまで私がここで言いたいのは、外資系の会社は”過度な気遣い” が必要ないということです。

日本の会社のように長期で有給を使うときには、いちいち上長の許可が必要など、外資系の会社ではあり得ません

有給は誰かの気を使うことなく、当然の権利として主張するし、日本の会社のように、お腹が空いてもキャプテンが食べ始めるまで待っているなどもありえません。

他人の目を気にして、自分のあるべき権利を我慢するなどの気遣いは不要ですし、そういった行動によって”生意気だ“などと、他人から言われることもありません。(勿論、最低限の礼儀やマナーは前提にあります..。)

会社との契約。 みんなこれによって動いているので、そこに”他人との人間関係”が介入することはなく、余計なストレスがないのです。心配するべきことは会社と仕事の契約のみ。

対象はあくまでも”会社と自分”のみです。

”〜さんが、あーだこーだ・・” など、日本の会社に勤めていたときは聞きたくもない愚痴や噂話をよく耳にしましたが、外資系に移ってからはそういったことも全く聞かなくなりました。

余計な人間関係や、周りの目などを心配せずに、仕事だけに集中できる環境があるのは、外資系航空会社の大きなメリットであると感じます。

周りの環境

ここでは、外資系の中でも英語を公用語として使う会社のことを前提で話します。

3つ目のメリットはズバリ、周りの環境です

外資系の会社に移る際、多くの人が心配する懸念点は”言葉の壁”だと思います。

「英語に自信がない」「言葉の通じない現地での生活が不安」等々。

私のプロフィールを既にご覧頂いた方ならわかると思いますが、高校まで一切の勉強をしてこなかった私ができているのに、おそらく私以上の学力をお持ちの方がこの心配をしているということは、申し訳ありませんが単純に「心配しすぎ」としか言いようがありません。

既に航空英語のレベル4をお持ちの方で英語力に自信のない方は、オンライン英会話で毎日30分、3ヶ月もやれば英語インタビューで話せるレベルには必ずなります。

自信がなくても、とりあえず受けてみればいいのです。それでダメなら努力不足ということ。ただ、それだけの話であり、何も試験を受けることを躊躇する理由にはなりません。そして、受かったらラッキーくらいでいいのです。

もし受かることができれば、その先は毎日英語に囲まれた環境。すごい勢いで英語力が伸びていきます。

日本にいる限りは、お金と時間をかけて英語を取得しますが、外資系で働けばお金をかけずとも、自然に英語力がつきます。会社にもよりますが、多くの外資系航空会社は様々な国籍のパイロットが在籍しており、イギリス英語、アメリカ英語、オージー英語、東南アジア英語など、実に様々な英語の環境に囲まれることによって、本当の意味で実用的な英語力が身に付きます。

そしてもう一つの環境のメリットとして、物事を多角的に見る事ができることです。

一度日本の外に出てみることで、今までは気づかなかった日本の良さや、今まで気にもしていなかった日本の習慣に気づく事ができます。勿論これは日常生活だけではなく、パイロットという仕事に関してもです。

具体的に例をあげると、これは以前に台湾人パイロットに言われた事ですが、日本人パイロットと飛ぶ時は周りのクルーがいつもより神経質になると聞きました。日本にいる間は常に周りに気を使う環境で飛んできたからなのか、そういった雰囲気を周りのクルーにまで意識させてしまっているようです。

相手のことを気遣うというのは、日本が誇れる大変素晴らしい文化だとは思いますが、そういった雰囲気が、同乗クルーにとってやり辛さを感じさせてしまっては、それはただのストレスでしかありません。

こういった気づきは、一度日本の外に出てみなければ経験できないことだと思います。

まとめ

外資系の航空会社が優れている。日本の会社が優れている。

私はこういったことをいうつもりはありません。

日系だろうが外資系だろうが国内線だろうが国際線だろうが、それぞれにメリット・デメリットがあり、自分のライフプランに合わせてその道を選択すれば良いのです。

あくまで外資系の航空会社を経験している者でしか伝えられない情報を、皆様に伝えるというのがこの記事の目的です。

そうした情報が、少しでもご自身の進むべき道の参考になってもらえれば幸いです。

今回は外資系航空会社で得られるメリットをご紹介しましたが、次回はデメリット編についてもご紹介したいと思います。

最近、遅くなりましたがお問い合わせから頂いていたご質問について、全て返事を返させていただきました。

漏れていないようにチェックはしているつもりですが、もし返事が来ていないという方がおられましたら、お手数ですが再度ご連絡いただければと思います。

そして、恐らくこれが年内最後の記事になるかと思います。今年の9月からブログを始めて、今日まで多くの方に遊びにきて頂き、本当に本当に感謝しています。

自己満足で気まぐれなブログではありますが、来年も少しでも役に立つ有益な情報をお届けできればと思います。

では、皆様良いお年をお過ごしくださいませ!

来年もどうぞ宜しくお願い致します。

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