
大変ご無沙汰しております。かなり久しぶりの更新です。もはや久しぶりすぎてブログの書き方すら忘れかけてしまいましたが、気まぐれのブログですのでご容赦いただければと思います。ソラマル引退疑惑すら漂い始めましたが、相変わらず私は元気に飛んでおります。今後とも細々と趣味程度に更新し、パイロットを目指している方の一助になれればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
今日は魅惑の新規航空会社、リャド航空についてご紹介です。
Riyadh Air?どこの国?
皆さん、サウジアラビアに行かれたことはありますか?おそらく90%以上の方がないと答えるかと思います。私もありません。
イスラム教の聖地メッカ・メディナのある国、緑色の国旗、サッカーが割と強い、石油・・・そんなイメージがあるかと思いますが、日本からの直行便はないため、我々には馴染みのない国だと思います。
まずはサウジアラビアという国をかるーくご紹介します。
サウジアラビアってどんな国?砂漠と未来が交差する魅力の国
まずは基本的な情報から。
- 正式名称:サウジアラビア王国(Kingdom of Saudi Arabia)
- 首都:リヤド(Riyadh)
- 面積:約215万平方キロメートル(日本の約5.7倍)
- 人口:約3600万人(2025年現在)
- 言語:アラビア語
- 宗教:イスラム教(スンニ派が多数)
- 通貨:サウジ・リヤル(SAR)
地理と気候
地理と気候
サウジアラビアはアラビア半島の大部分を占める広大な国です。国土の大部分が砂漠で構成されており、有名な「ルブアルハリ砂漠(空白の地)」は世界最大級の砂漠の一つです。夏は非常に暑く、気温は50度近くまで上がることも。冬は比較的穏やかで乾燥しています。沿岸部(紅海沿い)は湿度が高いこともあります。
経済と産業
サウジアラビアといえば、やはり石油。世界有数の埋蔵量と生産量を誇り、経済の中心をなしています。しかし近年は、「Vision 2030(ビジョン2030)」という国家プロジェクトを掲げ、石油依存からの脱却を目指して観光、エンタメ、テクノロジー分野などの多角化を進めています。

私も以前にこのVision 2030についてYouTubeで見たことがあるのですが、その時に衝撃を受けました。この先こんな未来都市がサウジアラビアにできるのかと。皆様にも紹介します。
このSF映画のような街が果たして現実的に作られるのかどうかは未知数ですが、このプロジェクトは現在も進行中です。何より、この構想を実現しようとする資金力に驚きです。
規制緩和と今後
以前までのサウジアラビアは厳格なイスラム教の国であり、女性にとっても非イスラムの人にとっても暮らしやすいとは言えない国でした。例えば女性はヒジャブと呼ばれる髪や顔を覆うスカーフの着用義務、自動車の運転の禁止、娯楽で言えば国として映画館すらも禁止されていました。それが現在は観光ビザの緩和に始まり、女性の運転許可、映画館解禁など、以前とは比べ物にならないほど色々な面で緩和されてきています。これも、今までは石油産業にだけ頼っていた国策から、観光業へシフトするという国を挙げての政策によるものです。それこそがVision2030であり、今回ご紹介するRiyadh Airの設立もそれに向けてのプロジェクトになります。つまり、国としてこの新規航空会社に力を入れていることがわかります。
Riyadh Airについて

では本題であるRiyadh Airについてです。まずは公式HPのこちらの動画をどうぞ。
設立と運航開始日
・設立 : 2023年3月12日
・運航開始: 2025年第3四半期(予定)
拠点
・リャド (首都)
航空機・機材計画
・発注済み機材 :
・ボーイング787-9 : 39機 +33機オプション
・エアバスA321 neo : 60機
・将来計画 : 約50機のA350-1000
・将来的には132機を目標
就航計画と就航地
・2030年までに100都市以上へ展開予定 (羽田・成田も計画)

まだ就航していない航空会社の為、この先の計画などは色々と変更があるかとは思いますが、会社としては今年の就航に向けて着々と動いています。
それでは次に、パイロットの募集要件と待遇面について見ていきます。
非常に魅力的な高待遇。募集要件はやや厳しめ。
募集要件
既に公式に募集要件が発表されました。他の航空会社と比較すると、フライトタイム要件は少々高めに設定してあります。
First Officer
- 飛行時間:マルチクルー・マルチエンジンジェットで 最低2,000時間(ターボプロップやターボジェット機器上の実飛行時間のみ)
- 最近の実操縦経験:過去12か月でファーストオフィサーまたはキャプテンとして 最低150時間
- 資格・証明:
- 有効なICAO ATPL
- Class 1 medical
- ICAO英語レベル5以上
Captain
- 飛行時間:マルチクルー・マルチエンジン機で 最低5,000–6,000時間(実飛行時間のみ)
- ワイドボディ機での機長経験:2,000時間以上(787/777が好ましい)
- 最近の機長実操縦:過去12か月で 最低150時間
- 資格・証明:
- 有効なICAO ATPL
- Class 1 medical
- ICAO英語レベル5以上
- 59歳以下
待遇面
基本給
First Officer
• エアバス A321neo:月額 60,000 SAR ≒ 230万円
• ボーイング 787-9:月額 65,000 SAR ≒ 250万円
Captain
・エアバス A321neo:月額 85,000 SAR ≒ 330万円
・ボーイング 787-9:月額 90,000 SAR ≒ 350万円
基本Flight timeは75時間であり、75時間を超過した場合:1時間あたり 400 SAR ≒ 1万5千円
85時間を超過した場合:1時間あたり 500 SAR ≒ 2万円
サウジアラビアは所得税はかからないので、この金額は全て手取りになります。
福利厚生
- 年次ボーナス:ラマダン月に1ヶ月分の給与が支給されます。
- 昇給:年に5%の昇給が見込まれます。
- 住居手当:リヤドの外国人居住区に完全に家具付きの住居が提供されます。
- 教育手当:最大3人の子どもの教育費がサウジアラビア国内外の学校で支給されます。
- 医療・生命保険:パイロット本人、配偶者、および最大3人の扶養家族に対して、医療・生命保険が提供されます。
- スタッフトラベル:年間20枚のConfirmed ID90チケット(家族〜友人)。Vacationで利用できるビジネスクラスの往復チケットが提供されます。
- 移転手当:リヤドへの移転前に10,000米ドルの移転手当が支給されます。
- 有給 : 56日
- 退職金制度
- 空港までの送迎、クリーニングなどなど。

いかがでしたでしょうか。まだ就航前なので限られた情報のみですが、既にこれだけでもこの会社の並外れた待遇が伝わったのではないかと思います。同じ中東のエアラインであるエミレーツ航空から多くのパイロットがリャド航空に移籍しているらしいです。どうしても世界的なパイロット不足のために、これだけの高待遇を掲示しないとパイロットが集まらないと言うのが現状でしょうが、それにしてもこの待遇は注目に値します。今後は700人のパイロットを採用予定みたいなので、パイロットの方には全員チャンスがあります。既に飛んでいる方、これからパイロットを目指す方、ぜひチャレンジしてみて下さい。
参考までに以前に執筆したエミレーツに関しての記事と、世界的なパイロット不足の記事を貼っておきます。こちらも合わせてどうぞ。それではまた!
こちらが公式HPのリンクになります。
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