前回は台湾に突如として現れた高待遇の航空会社、STARLUXをご紹介しましたが、今回はそれ以上にインパクトがある会社、エミレーツ航空についてご紹介します。
エミレーツ航空について
エミレーツ航空といえば、ラグジュアリーで中東を代表する航空会社というイメージが強いのではないでしょうか。実際、多くのスポーツチームのスポンサーになるなどし、世界で最も知名度のある航空会社の一つとなっています。
そんな会社の特徴としては、なんといっても豊富な資金力からなる大胆な経営にあります。A380を百機以上保有し、新機材を次々に大量発注するなど、他社が真似できないような経営戦略をとっています。
また、世間一般のイメージと同じように、我々パイロットの間でも”いつかはエミレーツ”という言葉が出てくるなど、社員に高待遇の会社としても有名です。
では実際にエミレーツのパイロットの待遇はいかほどなのか。サクッと簡単にご紹介したいと思います。
エミレーツ航空パイロットの待遇
Monthly Salary
まずは最も 気になる月給から。ドバイでは所得税がないので、以下の金額は手取り額になります。
(FLT TIME 85時間計算)
副操縦士: 約110万円 (US$ 8,392)
機長 : 約150万円 (US$ 11,885)
Accommodation Allowance (住宅手当)
そして私が最も驚いた住宅手当がこちらです。
副操縦士 : 約55万円 ($4,220)
機長 : 約71万円 ($5,445)
正直、意味がわからない額です。
しかし、まだ驚くのはこれだけじゃありません。
住居は自分で好きな物件を選ぶ場合と、会社が用意した豪華な物件に住むかの選択肢があります。
エミレーツを受けた友人から一度その物件を見せてもらいましたが、プール付きでトイレが3つ、風呂が2つ。部屋がいくつあるかわからないような大豪邸でした。
しかも、最初は家具が無い状態なので家具の購入費用として約83万円(US$ 6,535)が支給され、その後も毎年家具新調費用が支払われます。もう、待遇が手厚過ぎて言葉を失ってしまいます。
しかししかし、驚くのはまだまだ早いです・・・。
自身で物件を選ぶ方を選択した場合、住宅費用は家を購入した場合のローン返済に充てることも可能なのです。もう、意味がわかりません。
参考までに、ドバイで一番の大手の金融機関、Emirates NDBで住宅ローンを組んだ場合、毎月の住宅手当でいくらの物件が購入できるのかを試算してみました。
副操縦士を例にした場合、毎月の手当はUS$4,220 ≒ AED 15,500 なので以下のようになります。
AED 2,750,000≒約1億円です。しかもこれは25年払いの金利が5.29%なので、エミレーツ社員はもっといい条件で借りられることを考えた場合、億越えの物件が会社の支払いで自分の手に入ることになります。ちなみに機長の場合はこれ以上ですが、もう副操縦士の時点で衝撃が大きすぎるので計算する気すら起きません・・・。
ちなみにドバイ中心部でこの価格だと、どのような物件が購入できるのかを調べてみたらこんな感じの物件が購入可能でした。
かの有名なブルジュハリファ近くの豪華なマンションです。こんなに立地の良い場所じゃなければ、宮殿の様な物件も手に入るかと思います。
こんな物件のローンを会社が代わりに払ってくれて、しかも払い終われば勿論自分の物。こんなおいしい話があるなんて、さすがエミレーツです。
高い住宅手当などは外資の会社では当たり前にあることですが、その手当を住宅ローンに充てられるというのは私の知る限りエミレーツしかありません。
繰り返し言いますが、上の額は副操縦士の場合です。機長の場合はブルジュハリファで与沢翼氏のご近所さんになることだってきっとできるでしょう。。。
もうなんだか・・・ちょっとお金欲しいから100万くれって言えば簡単にもらえそうな気がします。
有給
有給は年間42日。そのうち30日は確約されます。
教育手当
これは中東の会社でよくみる待遇ですが、会社が学費を手当してくれる制度です。
4歳〜19歳の3人までの子供の学費を金額を会社が負担してくれます。
(年間)
Primary school :$11,649 ≒ 157万円
Secondary school :$17,765 ≒ 240万円
更に、上記金額とは別に入学費用も会社が負担してくれます。
更に更に、これはドバイではなく世界中どこの学校でも良いので、子供を日本の学校へ通わせた場合の学費も対象です。
至れり尽くせりとはまさにこのことでしょうか。。。
スタッフトラベル
スタッフトラベルについては何度か私のブログで紹介しておりますので、今更ではありますが、エミレーツは使える航空会社、使える枚数、確約チケットの数、使える親等、全てにおいて最高レベルです。
両親、兄妹は勿論、義父母、更には友達など自由に選択できるチケットも年間10枚もらえます。
退職金制度
退職金制度は、その会社で長く働く上では非常に重要な要素です。
エミレーツの退職金制度はA,B,Cの3つに別れており、会社が以下の金額を投資として運用してくれます。年に2回、無料で運用についてのコンサルティングを受けることができます。
A (雇用主負担):毎月の基本給の12%を積立 (10年後から15%)
B(雇用者負担):毎月基本給の5%
C(雇用者負担):任意の積立額
少しわかりづらいので、例としてエミレーツに副操縦士として30歳で入社後、10年で機長昇格、その後65歳まで働いた場合いくらくらいになるのかを計算してみます。
副操縦士期間 (Basic salary : $7000)
A:$7000×0.12×12ヶ月×10年=$100,800
B:$7000×0.05×12ヶ月×10年=$42,000
機長期間 (Basic salary : $10,000)
A:$10,000×0.15×12ヶ月×25年=$450,000
B:$10,000×0.05×12ヶ月×25年=$150,000
TOTAL
100,800+42,000+450,000+150,000=$742,8000
≒ 約1億円。
しかも、これは単純な積立ではなく株式、債券、などで運用されるので、運用益も別途期待できるのでこれ以上が期待できます。
勿論税金はかかりません。
ドバイに35年も住めるかという話は別にして、35年勤めて退職金が1億円もらえる航空会社など私の知るかぎり他にありません。
無論、10年後に機長として昇格した場合でこの金額ですので、機長として行くなり、もっと早く昇格するなどすればこれ以上の額になります。
デメリット
・ベースはドバイのみ。commute制度はないので、日本から通勤というのは現実的ではない。(成田-ドバイはおよそ10時間~12時間)
・ドバイでの生活に適用できるか(こればかりはデメリットになるかどうかはその人次第です。)
まとめ
今回紹介したのは、ほんの一部の待遇になります。紹介した待遇以外にも、まだまだ魅力的な待遇はたくさんあります。
例えば、有給を使って帰国する際のチケット確保、ハイヤーでの通勤の送迎、家族を含めての医療保障、ドバイの街中や世界中で様々な割引が利用できるエミレーツプラチナカードの進呈、などなど。。。
これらを紹介しなくても今回紹介した待遇だけで如何に高待遇な会社かということがお分かりいただけたかと思います。
どうしても我々日本人にとっては中東での生活が不安要素として大きいですが、そこさえクリアできれば待遇面では最高水準の会社であることは間違い無いです。住居費、子供の学費はかからず、税金も無し。長く働けば億越えの豪邸と億を超える退職金が手に入ります。
今回は中東の金満会社、エミレーツ航空のパイロットの待遇についてご紹介しました。
勿論、高待遇とだけあって入社の難易度もそれなりに高い会社です。しかし、海外での生活に抵抗がない方は目指すべき会社ではないでしょうか。ドバイでの生活が一番のネックポイントになるかとは思いますが、ガーシーも長期滞在しているわけですし。。(笑)
入社する為の最低条件としては英語力、国際線の経験が必要になりますので、将来的なステップアップの候補として是非とも日本人パイロットの方には検討して頂きたいです。
更新が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
しばらくブログ、Twitter離れておりましたが、今後は少しづつ更新していきたいと思います。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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